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Yoyorecreation トオル0.999

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

これはyoyorecreation トオル0.999というトライマテリアルヨーヨーのレビュー記事の「出来損ない」のようなものである。アラフォーのオッサンの昔話のようなものかもしれない。

ケンヂ博士
ケンヂ博士
あるいはリクリの歴史の話かもしれんね。

イイヅカさん

ぼくは大学院のころ、5年間ほど新潟県に住んでいた。その時代、新潟出身の1Aヨーヨープレイヤーとして有名だったのがイイヅカタカヒロさんだった。当時、イイヅカさんは東京方面に住んでいたのだけど、ときどき帰省された際や各種大会などの際に、新潟のヨーヨープレイヤーたちと交流してくれていた。

イイヅカさんは初期のTeam yoyorecreationメンバーとして、競技ヨーヨーの最前線で活躍された。メシアとシックスという2機種のシグネチャーヨーヨーもリリースしていて、当時の1Aプレイヤーたちの憧れだった。ぼくもシックスのプロトタイプらしきヨーヨーを使っていた時期がある(詳しくは覚えていないが、誰かからもらったのだと思う)。

シックスのプロトとE=mc^2
シックスのプロトの軸周り ベアリングがDサイズ化されている

上の写真のRawのヨーヨーはおそらくシックスのプロトタイプ。ほぼメシアサイズのまま、ベアリングをCサイズからDサイズに小型化している。重量を外周部に極端に寄せた構造になっているため、パワフルな回転力を持つが、特有の動かしにくさがあるように思う。久しぶりに触ったら少しストレスを感じたが、数分間ほど使ったらだいぶ慣れた。製品版のシックスではリムがウィング構造に変更されているのだが、これはおそらく回転力を落とす代わりに動かしやすさを改善する方向に調整したのだと思われる。なお、ウイング構造については上の写真の青いヨーヨー E=mc^2を見てもらうとイメージしやすいと思うが、最外周部にあえて肉を盛らず、薄いウイングを付ける構造である。

実は、この記事を書いている最中にさらに新型のメシアが2機種リリースされた。モノメタルの「メシア」とバイメタルの「メシア666」である。メシアが再販されることはリクリの公式YouTubeで事前に情報公開されていたのだけども、バイメタル版の「メシア666」のことは発売前日まで秘密にされていたため、ぼくは驚いた。こんな記事を用意している最中だったので、ぼくはすぐにメシア666をポチッた。妻には内緒である。

メシア666 ブラストシルバー
めちゃかっこいい。こんなの見せられたら買うしかなくない?

お嫁様
お嫁様
なんとなく夫が無駄遣いしている気がする……。

当時、イイヅカさんは世界大会優勝も期待されるプレイヤーだった。しかし、当時の競技シーンの最前線にいたプレイヤー達は徐々に新世代のプレイヤーたちに遅れを取るようになっていった。2010年に始まった第3期ハイパーヨーヨーで生まれた新世代のプレイヤー達の成長が著しかったのだ。

ぼくが社会人になったあとのことだっただろうか、なにかの大会の時にイイヅカさんは「(ヤマキ)イオリはヤバい(上手い)」と言っていた。ヤマキイオリ選手は第3期ハイパーからヨーヨーをはじめた若手プレイヤーで、当時の年齢は10代前半だったと思う。イオリ選手もTeam yoyorecreationのメンバーで、活躍が期待されていた。

ぼくはイオリ選手よりもイイヅカさんのほうがすごいと信じていたのだけれど、その大会でイイヅカさんはイオリ選手に敗れた。気になって当時のリザルトを調べてみたのだけれど、それはどうやら2013年の西日本ヨーヨーコンテスト1A部門の出来事で、イイヅカさんは5位、優勝したのはイオリ選手だった。

イオリ選手の動画→https://www.youtube.com/watch?v=yUfqmVT2YOo
(なぜか埋め込みが上手くできなかった。)

以降、イイヅカさんは徐々に競技に参加しなくなっていったように記憶している。就職したり、結婚したり、子どもが生まれたりで私生活にいろいろあったのだろう。現在のイイヅカさんの姿は某SNSのヨーヨー社労士さんのアカウントでたまに見かける。堂本剛主演の映画に協力したり、新型メシア2機種をリリースしたり、細かい近況はよく知らないけど、なんだか楽しそうだ。

ケンヂ博士
ケンヂ博士
バイメタル版メシア、めちゃくちゃ売れそうやね。

ヤマキイオリ選手

ぼくは社会人になったあと、ほとんどずっと関西に住んでいる。結婚するまでは練習会にもたくさん行った。豊中、京都、三宮、関西ヨーヨースクール……他にもいろいろあるけれど、スケジュールが空いていれば、だいたいどこの練習会にも行っていた。

前述のイオリ選手とは時折、練習会で顔を合わせていたような記憶があるが、なぜかほとんど話したことがない。ぼくと彼は年齢が大きく離れていて、それが一つの原因なのだろうけども、もし同じ年齢で同じ学校に通っていたとしても、なんとなく会話しなさそうな気がする。好き嫌いではなく、なぜかぼくとの共通点が見当たらない、そんな感じの子だった。

イオリ選手は2010年に始まった第3期ハイパーヨーヨーでヨーヨーを始め、2013年のワールドヨーヨーコンテスト1A部門で決勝進出、翌年はさらに1A部門3位に躍進、その翌年も2年連続の3位入賞を果たしている。

2015年ヨーヨー世界大会決勝

客観的にみて、ヨーヨーを初めてから3〜4年で世界トップレベルに達したのはすごいとしか言いようがない(当時のぼくにはそういった客観性はなかったので、いま考えるとそう思う、という話である)。きっと才能・努力・環境・ヨーヨーへの取り組み方などがうまく噛み合った結果なのだろうけども、そうそうできることではない。

イオリ選手は他の大会でも活躍したが、2019年の世界大会で決勝進出したのを最後に競技ヨーヨーの舞台から姿を消し(セミファイナルの完成度の高さはいま見ても圧巻だ)、ファッションの業界に身を投じた。

2019年世界大会のセミファイナル

イオリ選手が身を投じたファッション業界は一年、ほぼ365日、ユニクロを着ているぼくとは縁遠い世界だ(ぼくはスティーブ・ジョブズと同じように毎日、同じ種類の服を着ている)。年齢が離れていても、ぼくと仲良くしてくれた若手プレイヤーも居たから、たぶんイオリ選手と噛み合わなかったのは年齢以外の何かの要因があったからなのかもしれない。

……いや、ヤマキイオリ選手のような急成長中の若手を、ぼくが志さなかった方向性のスタイルのプレイヤーを、ぼくが見ないようにしていただけ、というのが真実に近いのかもしれない。当時のぼくはアラサーだったけども、アラフォーになったいまのぼくから見ると、あのころのぼくはだいぶ未熟だったのだ。

ケンヂ博士
ケンヂ博士
当時は「イオリ選手スゲー!」って素直に認められなかったんや。

あの頃のyoyorecreation

さて、もう少し昔話を続けよう。すこし時間を巻き戻す。2007年にユウキ・スペンサー選手がメタルヨーヨー 888でヨーヨー世界大会1A部門 優勝を果たして以後、ヨーヨー業界は完全にメタルヨーヨーが主流になった。

ユウキ・スペンサー選手の2007年世界大会決勝、いま見ても色褪せない。

yoyorecreationはその頃に生まれたヨーヨーブランドで、日本国内の有望なプレイヤーを次々にチームに引き入れ、急成長を遂げた。

この頃はさまざまな可能性を模索していた時期だったのだろう、多様なサイズのヨーヨーのメタルヨーヨーがyoyorecreationから次々と発売された。小さいものとしては直径50mmのアンダーサイズヨーヨーであるメシア、大きいものとしては直径62mmのオーバーサイズヨーヨーであるドレッドノートがあった。チームメンバーの個性を活かすために、多種のシグネイチャーヨーヨーを次々と発表したのだ。

しかし、極端なサイズのヨーヨーは徐々に市場から姿を消すことになった。2010年に始まった第3期ハイパーヨーヨー以後、ヨーヨーブランドの数が増え、競争が激化した結果、直径56〜57mmしか売れなくなっていったのだ。プレイヤーたちの競技志向が加速し、多くのプレイヤーにとって競技に使いやすいものを求めた結果だったのかもしれない。ぼくら、アンダーサイズ派閥のヨーヨープレイヤーたちはその状況を歯がゆい気持ちで見ていた。

たしか、2013年のことだったと思う。yoyorecreationはそれまでに発売していた全機種を終売とし、バイメタルヨーヨー ドラウプニルとチタンヨーヨー ダズラーをリリースした。このときの衝撃は凄まじく、皆がこぞってドラウプニルを買い漁った。

ちなみに、ぼくはへそ曲がりだったので、ドラウプニルはあまり使わなかった(1個だけ持っていたけども、5年以上前に手放してしまった)。当時のぼくは何かとこだわりが強く、他の人からのアドバイスを素直に受け取れない、そんな弱さを持っていた。「他の人の言うことや流行り廃りにブレずに、自分のこだわりを守りぬくことが大切だ」と信じていた。当時のぼくはまだ若く、そして愚かだった。

yoyorecreationはドラウプニルに続き、レーザー、スプートニクといったバイメタルヨーヨーをリリースし、業界内で覇権を握っていた。しかし、今にして思えば、2015年、その人気に翳りが見え始めていた。yoyorecreationは新興の低価格ヨーヨーブランドに押され、 徐々に勢いを失いつつあったのである。テコ入れのため、ブランドを高級路線のyoyorecreation AEと低価格路線のリベリオンの2つに分けたが、この戦略は失敗し、数年ほどで1つに戻している。あとあと、yoyorecreationの低価格ラインは”TYPE FACE INSPIRED SERIES”に引き継がれていく事になるが、これは古参のプレイヤー向けのヨーヨーというより、新規層やカジュアル層向けの安価なヨーヨーという印象がある。

写真はリベリオンからリリースされたアンダーサイズヨーヨーのリリプシャン。フィーリングが軽快な反面、回転力は低い。

2015年にyoyorecreation AEから発売されたバイメタルヨーヨーであるインベーダーズマストダイとスタートザライオットの2機種はなかなか市場に受け入れられなかった(※いま考えると、スタートザライオットはなかなか実験的な形状をしているのでちょっと欲しい)。多くの人たちがその数年前に発売されたドラウプニルを使い続けたからである。ぼくが観測した範囲だけの話かもしれないけど、関西の若手プレイヤーたちはドラウプニルを使っている人が多かった。きっとドラウプニルから新しいヨーヨーに乗り換える必要性を感じていなかったのだろう。若手たちはまだティーンエイジャーで、時間はあってもお金はない子達だったのだ。

彼らがドラウプニルを捨てるのには、ドラウプニルをはるかに超えるヨーヨーが必要だった。それは2018年末の「オーバードライブ・ドラウプニル」と「イネビタブル」の発売を待つ必要があったのだ。

ケンヂ博士
ケンヂ博士
みんな、ずっとドラウプニル使ってたね。

不遇のヨーヨー オンスロート

ヤマキイオリ選手のシグネイチャーヨーヨーである「オンスロート」がリリースされたのは、オーバードライブドラウプニルやイネビタブルが発売される少し前のことだった。調べてみたところ、オンスロートの発売は2018年の夏頃のようだ。ぼくの中で、「オンスロートは不遇なヨーヨー」だという印象がある

発売当時、オンスロートのリム構造は謎だった。後に、アルミボディ+ステンレスリム+プラスチックリムの3ピース構造(トライマテリアルヨーヨー)であるということがあきらかになるのだけれど、積極的にオンスロートを買おうという気持ちはぼくには無かった。

イオリ選手は関西出身だが、たしかこの頃には上京していた。もし、イオリ選手がそのまま関西に居たのなら、きっとオンスロートの良さに共感した者が現れたはずなのだが、そういった人はぼくが観測した範囲ではいなかった。

ケンヂ博士
ケンヂ博士
ヨーヨーショップの実店舗がある地域なら違ったのかもわからん。

ちなみに、これはオンスロート発売前のヤマキイオリ選手の動画である。カッコいい映像だが、オンスロートのプロモーションとして見ると、なんだかよくわからない。新しいヨーヨーのプロモーションというよりは、きっと近況報告に近い内容だったのだと思う。2017年、イオリ選手は大会に出ていなかったようなので、「2018年、大会に復帰」というメッセージを伝えたかったのだろう。

2018年当時のヤマキイオリ選手。おそらくオンスロートを使っている。

関西ヨーヨー界のカリスマ、オギリョウタ選手のシグネイチャーヨーヨー オーバードライブドラウプニルやイマイアラタ選手のシグネイチャー イネビタブルがすぐあとに発売されたのも不運だった。平均的に性能が高く、王道的なイネビタブルと、すさまじい回転力でホリゾンタルやロングコンボの適性が高いオーバードライブドラウプニル。これらの2機種のバイメタルヨーヨーはわかりやすい特徴を持っていたが、オンスロートは特徴がよくわからない印象だった。しかも、トライマテリアルな分、価格も割高だった。

ちなみに、当時のぼくはイマイアラタ選手のシグネイチャーヨーヨー イネビタブルを購入している。第一子がガンガンと床にイネビタブルを打ち付け、ブレが発生するようになってしまったので使っていた期間は短いのだけれど、この記事を書くにあたり、倉庫の片隅にしまってあったイネビタブルを再び触ってみた。ステンレスリムのズレを力技で修正してみたところ、ブレが無くなったので、すこしプレイしてみたが、これはこれでスゴいヨーヨーだ。イネビタブルはyoyorecreation初期の名機、スレイプニルをベースにしたアウターリムバイメタルヨーヨーなので、非常にパワフルである。しかも、オーバードライブドラウプニルはこれよりもさらにパワフルなのだから恐ろしい。

スレイプニル(前期型)とイネビタブル。並べてみると非常に似ていることがわかる。

パワフルさという面では、最外周部にプラスチックリムを取り付けたトライマテリアルヨーヨーは、プラスチックリムのないバイメタルヨーヨーよりも不利だ。重量が外周部に寄っていた方が慣性モーメントを稼げて、回転がパワフルになる。トライマテリアルヨーヨーの良さはフィーリングが軽くなることにあるのだけれども、フィーリングの違いを理解しようとする姿勢がないと、ただ単純に回らないヨーヨーと評価されかねない。事実、発売直後にオンスロートを触った某氏(関西ヨーヨー界では有名な人)は「オンスロートは回らない」と切り捨てていた。

2019年夏のヨーヨー世界大会を最後に、ヤマキイオリ選手が競技を退くと、オンスロートにさらなる悲劇が訪れた。2020年、新型コロナウイルスによるパンデミックが始まったのだ。ヨーヨーの練習会や大会、イベントがほとんど開かれなかった時期もあった。ヨーヨーの仲間との交流はあきらかに減少した。パンデミックが終わるまで3年の月日が必要だったが、新型コロナウイルス騒動が終息した2023年にはオンスロートはいわば過去のヨーヨーになりかけており、話題に上ることはほとんど無くなっていた(現在も販売されているヨーヨーなので、こんな言い方は適切でないかもしれないが許してほしい)

そんなこんなが重なって、トライマテリアル構造の良さは関西ヨーヨー界になかなか広まらなかったのである。

ケンヂ博士
ケンヂ博士
ヨーヨーショップの実店舗が大阪にあれば、また違ったのかも?

この当時、まさか自分がオンスロートと同じトライマテリアル構造のヨーヨーを買うとは露にも思わなかった。人生は不可思議である

ちなみに、オンスロートはヤマキイオリ選手のフォロワーであるカスガアユム選手がTeam yoyorecreation入りした後、ヤマキイオリ・カスガアユムのダブルネームで再販されている。2024年10月現在ではまだ在庫があるようなので、気になる方はぜひ買ってみてほしい。

ミル・キム選手

ぼくがトライマテリアル構造のヨーヨーに興味をもったのはヨーヨーファクトリー社所属のミル・キム選手が2023年の世界大会をトライマテリアル構造のヨーヨー、ミラクルで制した後のことである。

すこしだけ、ミル・キム選手とミラクルの話をしよう。ミル・キム選手のフリースタイルは驚愕の構成+完成度で、1Aからしばらく離れていたぼくでも「ああ、これは優勝だな」と一目でわかる出来栄えだった。

ミル・キム選手が使っていたミラクルはアルミボディ+真鍮リム+プラスチックリムのトライマテリアルヨーヨーなのだけど、なぜプラスチックリムを最外周部に取り付けるのか、ぼくにはさっぱりわからなかった。でも、全く知らない人の1Aフリースタイルを見て「その人が使っているヨーヨーがほしい」と思ったのは、ぼくにとって久しぶりのことだった。もしかしたら初めての感覚だったかもしれない。

結局、ミラクルは買わなかったのだけれど、ぼくのなかでトライマテリアルヨーヨーへの関心がこれをきっかけに高まっていった。そして、トライマテリアルヨーヨーのトレンドが始まりつつあることをぼくはなんとなく感じていた。

ケンヂ博士
ケンヂ博士
圧巻、と言うしかないフリーなので、見たことない人はぜひ一度見てほしい。

タカツツカサさん

ぼくがトオル0.999に興味を持ったのは、タカツツカサさんの「ヨーヨーリクリエーションで1番好きなヨーヨー」と「最強のヨーヨーを買いに行く」という2つの動画がきっかけだった。ぼくがタカツツカサさんのファンなのは前回の記事でも述べたことだけど、これらの動画は特に興味深く、ぼくのお気に入りだ。

タカツさんが1番好きな機種はまさかの……
yoyorecreationのハイエンド機種のことが一通り理解できるスゴイ動画

「オンスロート、好きなんですよね。」

これは「ヨーヨーリクリエーションで1番好きなヨーヨー」という動画の中でタカツさんが唐突に言った言葉である。これらの動画がアップロードされたのは、オンスロートの発売から4、5年後のことだったから、タカツさんがオンスロートを高く評価していることをぼくは意外だと思った。「なんで?ぜんぜん回らないんじゃないの?」と。ただ、タカツさんとキドケンゴオーナーの話はすぐに「ラミ」と「トオル0.999」の話に切り替わったので、その疑問のことはいつの間にか忘れてしまった。

どうやら軽いのが好きなら、現行yoyorecreationのラインナップだと「ラミ」か、「トオル0.999」が良いらしい。この頃、ぼくはヨーヨーファクトリー社のグラインドマシーン2(ハブスタック取り外し)という軽めのオールドヨーヨーを使っていた。グラインドマシーン2も良いが、もっと良いヨーヨーがあるのならすぐに目移りしてしまうのが、ヨーヨー人の悲しきサガである。

タカツさんは「最強のヨーヨーを買う」という動画の中で、ラミか、トオル0.999で悩んだ後、最終的にトオル0.999を購入している。タカツさんがトオル0.999を買うだろうことは予想が付いていたけども、この動画の中で他のヨーヨーもしっかり試していて、かなり参考になる。観たことのないヨーヨー人はぜひ観て欲しい

ミヤザキトオル選手

さて、トオル0.999はミヤザキトオル選手のシグネイチャーヨーヨーで、オンスロートと同じトライマテリアルヨーヨーである。ミヤザキトオル選手のシグネイチャーヨーヨーにはバイメタルヨーヨーの「ベイ」とトライマテリアルヨーヨーの「トオル0.999」があるが、トオル0.999のほうが軽快なフィーリングらしい。タカツさんの動画を観た2ヶ月後くらいに、ぼくもトオル0.999を購入した。もうめちゃくちゃ欲しくてたまらなかったのだ。

ぼくが買ったのは表面がブラスト加工されたタイプで、色はシルバーである。ブラスト加工の有無は人によって好き嫌いの分かれるところだが、ぼくは基本的に「1Aヨーヨーは素手でプレイする派」なので、ブラスト加工ありのほうが好みである。yoyorecreationのブラスト加工は気持ちよく、グラインド系トリックがしやすい。非常に良い感じだ。

ぼくにとって、トオル0.999は数年ぶりに触ったyoyorecreationのヨーヨーである(イネビタブルは娘のせいですぐに倉庫行きになってしまった)。「競技向けのラインナップの中でパワーは最弱」と聞いていたけど、やっぱりそこはさすがのyoyorecreation、予想外にしっかり回る。幅45mmは最初、すこし大きい気もしたけど、すぐに慣れた。ホリゾンタルをやる人にはもっと他に良いヨーヨーがあるかもしれないけど、細かい技が多い人にはとてもオススメできるヨーヨーだと思う。

ヨーヨーの動かしやすさは触れ込み通り、素晴らしかった。オンスロートと同じ、最外周部に配置されたプラスチックリムが重量バランスを分散し、柔らかなフィーリングを生んでいるらしい。この重量バランスの分散という発想は、yoyorecreation初期のブリンクやE=mc^2に見られたウィング構造に共通するものらしい。その共通点、はやく教えてほしかった。それを知っていれば、世間からのオンスロートへの評価も違っていただろうに、と思わざるを得ない。

シックスのプロトとE=mc^2

ちなみにこの写真の右側がyoyorecreation初期のヨーヨーの一つであるE=mc^2。この記事の上のほうでも少し触れたが、最外周部にウィングのようなものがあるのが特徴。最外周部に重量が乗りすぎないようにする工夫が初期の頃から見られる。おそらく、yoyorecreationのトライマテリアルヨーヨーはプラスチックリムの内側にこういったウィング構造が隠れていて、それが独自のフィーリングを生み出す要因になっている。

閑話休題。ここまで褒めておいてなんだけど、ぼくは実はミヤザキトオル選手のことをよく知らなかった。トオル0.999を買ってから、彼の動画をよく見るようになって、最近の若者はスゴいなぁとしみじみ感じている。ミヤザキトオル選手の技のトリックリストがあるようなので、これから勉強させてください。

ケンヂ博士
ケンヂ博士
最近まで、1Aから離れていた+若者から目を背けていたからよく知らんかったんよね。これから勉強しよ。

カスガアユム選手・ミウラハジメ選手

yoyorecreationのトライマテリアル機種の良さをようやく理解したぼくはカスガアユム選手のシグネイチャーヨーヨー 「サベージ」やミウラハジメ選手の新作シグネイチャーヨーヨー 「リミナルオートスコピー」も気になっている。

サベージはぼくにとって幅が広すぎる気がするので、多分買わないけれど、リミナルオートスコピーの形はわたしの好みのどストライク(グラインドマシーン2に少し似た印象がある)なので、そのうち買うかもしれない。ブラストが出たらマジメに検討したい。

最近、カスガアユム選手のトリックをコピーしてみたのだけど、「よくあんな超スピードでこの技ができるな!」と改めて驚いた。構造はしっかり理解したけど、ぼくにはあのスピードは出せないだろう。直近のヨーヨー全国大会の動画も観たが、ホリゾンタルの技の構造が新しく、見応えがあった。

カスガアユム選手JN24フリー(なぜか埋め込みができない)→ https://www.youtube.com/watch?v=H7TqMx_GnbI

ミウラハジメ選手の直近の世界大会のフリーもすごかった。3A部門のことはよくわからないけど、ものすごく挑戦的だったことはぼくにも伝わった。これも「そのヨーヨーが欲しくなるタイプのフリースタイル」である。

ぼくは「新ヨーヨー開発の経緯、ストーリーがわかると、購買意欲が掻き立てられるタイプ」のようである。リミナルオートスコピーの開発ストーリーはとても良かった。ヨーヨーメーカー各社はもっとストーリーを語って欲しい。ぜひぜひ。

ただし、いくらそのストーリーが魅力的なものであったとしても、ぼくがそのヨーヨーを買うことを確約するわけではないので悪しからず。

ケンヂ博士
ケンヂ博士
あんまり無駄遣いすると嫁に怒られそうやからね

まとめ

yoyorecreationのトオル0.999のレビューを書くつもりが、「最近の若者はスゴいなぁ」ということを言うだけの記事になってしまったように思う。

この記事を書くために、いろいろ過去の動画を観たり、資料を集めたりしたのだけど、その活動のなかで過去の自分の若さや愚かさ、自分の心境の変化に気づいた。

以前のぼくは自分よりも15歳近く若い人たちのスゴさを素直に認める柔軟さが無かった。少し歳を取って、そういった尖った部分が多少丸くなり、若い人たちのスゴさを素直に認められるようになってきた。下手くそなりに、ヨーヨー歴が長いことに対するプライドもあったのだけど、1Aヨーヨーから数年間離れていたことで「初心者に戻ったつもりで、また1から頑張っていこう」という気持ちになれている。

「でも、オイラ、アラフォーだけど若手になんか負けないよ」という負けん気はもちろんあるのだけど(競技をやるつもりはないけれど)、他者を認めるという心の強さと謙虚さをぼくはたぶん獲得しつつあるのだと思う。2024年の秋、オンスロートとヤマキイオリ選手のことを考えながら、ぼくはそんなふうに感じた。

お嫁様
お嫁様
結局、これってなんの話だったの?
ケンヂ博士
ケンヂ博士
ただのアラフォーのオッサンの戯言だよ。

ABOUT ME
ケンヂ博士
高橋 健治。某工業高専出身のアラフォー工学博士。 東北生まれのエセ関西弁話者。研究者として日系メーカーに10年以上勤務。数学、制御工学、電気工学、パワエレ、プログラミング、ヨーヨー、将棋などがそこそこできるマルチプレイヤー。大阪府の端っこで、お嫁様+2人の娘たち+4匹の金魚.etcと暮らしている。

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