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ミッドシップリムヨーヨーのブレ対策

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最近のヨーヨーには複数の素材を利用したものがあります。金属リムヨーヨーやバイメタルヨーヨー、トライマテリアルヨーヨーなどです。これらのヨーヨーは複数のパーツを組み合わせることで高い性能を実現しようとしたものですが、単一素材のヨーヨーに比べて繊細な面があり、些細なことがきっかけでブレが発生します。この記事ではミッドシップ金属リム構造のヨーヨーにブレが発生してしまった時にどうすればいいか、一つのアイデアをまとめます。

ケンヂ博士
ケンヂ博士
この記事に書いてある内容を真似する場合は自己責任やで〜。

なお、この記事の一連の内容はXの下記のスレッドを元にしています。

今回の修理対象

ということで、今回の修理対象はyoyorecreationのサです。前回、お気に入り機種として紹介したばかりなのに、床にぶつけてしまってブレが発生しました。悲しい。

でも、1万円以上したヨーヨーなので、ブレがでたくらいでお蔵入りにするのはもったいない。しっかりブレの原因を調べて直したいと思います。

ケンヂ博士
ケンヂ博士
ちなみに前回の記事は↓やで。

パワー・オブ・あっきー⭐︎

ブレのことについて情報収集をしていたところ、以下の動画を発見しました。

この動画はヨーヨーファクトリー社所属、元ヨーヨー全国大会1A部門チャンピオンのトクブチアキトシ選手が投稿したものです。この動画によるとヨーヨーのブレの原因は以下の3つであることが多いようです。

  1. 軸の歪み
  2. ボディの変形(傷・えぐれ)
  3. リムのズレ

これらの要因によってヨーヨーの左右の重量バランスが崩れるとブレが発生します。多少のブレであれば良いのですが、大きなブレが発生するような場合には対処が必要です。ヨーヨーの状態をよく調べて、それにあった対策を行うのがベストですが、バイメタルヨーヨーやトライマテリアルヨーヨーの場合、まずはリムのズレを疑うのが良さそうです。

なお、私の場合はプレイ中のアクシデントが原因でしたが、もともと初期不良でブレがある場合もあります。そういった場合はすぐに買ったお店に問い合わせることをオススメします。

上記の動画の中で、トクブチ選手はアウターリムバイメタル機種のリムのズレを力技で直しています。アウターリム形状のバイメタルヨーヨーはリムをヨーヨーの外側から取り付けていることが多いです。こういう場合は比較的簡単です。たいらな床にヨーヨーを置いて、ヨーヨーのボディに対して上側から力をしっかり掛けます。つまり、床と手で、リムとボディを両側から押し込むわけです。上手くいけばカチっという音が鳴り、リムのズレが直ります。必ず上手くいくわけではない(最悪、ヨーヨーが壊れるリスクもある)のですが、この方法をやればブレて使えなくなってしまったヨーヨーが復活する可能性があります。そのため、ブレてしまったヨーヨーをお持ちの方は一度試してみる価値があるのではないかと思います。

この記事は「サ」の話がメインですが、ぼくはこの動画を見た直後、押し入れに眠っていたyoyorecreationのアウターリムバイメタルヨーヨー「イネビタブル」を修理してみました。数年前、娘にガンガンと床に叩きつけられ、ブレが止まらなくなったヨーヨーです。トクブチ選手に教えてもらったやり方をやってみたところ、イネビタブルは再び綺麗に回転するようになりました、やったぜ。

ケンヂ博士
ケンヂ博士
大事なのはパワー……パワーが全てを解決する。

アウターリムバイメタルヨーヨーのリムずれの直し方

この方法を初めてやった人が誰なのかは定かではないのですが(2018年くらいに関西のSくんがドラウプニルをこの方法で直していた記憶あり)、私の知る限り、インターネット上にこの方法を初めて公開したのはトクブチ選手だと思います。トクブチ選手への尊敬と親しみを込めて、ここではこの方法を「パワー・オブ・あっきー⭐︎」と呼ぶことにします

なお、パワー・オブ・あっきー⭐︎はヨーヨーを破壊するリスクのある技ですし、メーカー非推奨の方法だと思いますから、真似する場合は自己責任でお願いします。もしこの記事の真似をして、何かしらのトラブルが発生しても当方では責任を負いかねます。

VSミッドシップリム構造

現状把握+課題

さて、本題です。今回、yoyorecreationのサがブレてしまったわけですが、まずは原因を調べてみます。ヨーヨーを確認すると、リムがボディからずれている箇所が見つかりました。薄い紙(レシートの切れ端)が入る程度のわずかなズレですが、現代のヨーヨーは精巧なので、この程度の重量バランスのズレでもブレが発生することがあります。

リムのズレ
薄紙が入る程度のズレ
薄紙が入る程度のズレ(別アングルから)

これであれば、「パワー・オブ・あっきー⭐︎」を使ってリムが元の位置に戻ればブレがなくなる可能性が高いです。しかし、問題なのはサのリム配置。「サ」はステンレスリムがボディの内側から取り付けられています。しかも、リムの位置は最外周部ではなく、少し内側に入っています。このようなミッドシップリム構造の場合、ボディを押してもリムのズレは直せないので、リムを直接押し込む必要がありますが、このリムを素手だけでまっすぐ押すのはかなり難しいと思います。

ミッドシップリム配置の場合、ボディを押す作戦は使えない。

治具を用意する

素手で押すのが難しいのであれば、道具を使って押すのはどうでしょうか?わたしはリムを押し込むための治具を用意することにしました。

治具を用意するためにリムのサイズを測定してみましょう。ノギスで測定してみたところ、サのリムのセンターはだいたい直径51mmくらいだということがわかりました。

リムの大きさの測定

ノギスは1000円〜3000円程度で買うことができます。何かと便利なので、持っておくことをおすすめします。

内径がわかったら、治具を用意します。ホームセンターやAmazonなどで物色するといいと思います。今回はAmazonで怪しげなフランジを見つけました。内径51.5mmだそうなので、サのリムを押し込むのにちょうど良さそうです。

Amazonで見つけた怪しげなフランジ

実際に届いたフランジはこちら。届くのに一週間くらいかかったと思います。Amazonの写真では小さく見えましたが、実物はなかなかのサイズでした。

思ったより大きい

今回、治具としてフランジをAmazonで購入しましたが、リムを適切に押せるのであれば、治具はなんでも良いです。サイズ、強度、値段が手頃なものが見つかれば良いのですが、見つからない場合は3Dプリンタや粘土などで作っても良いと思います。

パワー・オブ・あっきー⭐︎with 治具作戦

治具が準備できたらあとはズレたリムを押し込むだけです。以下の写真はサにフランジを取り付けたところ。サイズはぴったりのようです。

サ+フランジ サイズはぴったり

実際には、ヨーヨーに傷がつくのを避けるため、以下の写真のように適当なクッション材でヨーヨーを保護します。わたしの場合は百円均一で買った滑り止めシートがあったので、それを使いました。

保護用に適当なクッション材を挟むと良い

上から見た図はこちら。力が足りないとリムのズレが直せないので、勇気を出して力を込めます。何回かトライしたところ、カチッと音がしました。どうやら上手くいったようです。

上から見た図。勇気を持って押し込む。

リムのズレがなくなったことを目視確認したあと、ヨーヨーを振ってみたところ、ブレがなくなっていることが確認できました。これなら快適にヨーヨーができます。パワー・オブ・あっきー⭐︎with 治具作戦、大成功だと言えるでしょう。

このように、ミッドシップリム構造のバイメタルヨーヨーのリムずれを直すには、リムに適切な力を掛けられるような治具を用意し、リムをボディ方向に垂直に押し込むと良さそうです。なお、失敗のリスクのある方法なので、真似される場合は自己責任でよろしくお願いします。繰り返しになりますが、この記事を真似した方にどのようなトラブルが起きたとしても、当方では責任を取りかねますので、ご了承ください。

修理にかかった費用

さて、今回の修理にかかった費用ですが、ノギス代1249円+フランジ代2574円=合計3823円でした。ノギスはまた何かの時に使えるので、実質2574円で修理できたと考えることにします。サの定価が13800円ですので、買い直すよりはぜんぜん安かったです。

リムを押し込むための治具(フランジ)をもっと安く調達できていれば修理コストが下がったのですが、それは今後の課題にしたいと思います。

パワー・オブ・ゴリラ

さて、余談ではありますが、「パワー・オブ・あっきー⭐︎」という名前の元ネタはヨメガ ファイヤーボールやレイダーのキャップを取り外す方法として一部で有名な「パワー・オブ・ゴリラ」です。ファイヤーボールやレイダーと言えば、一昔前は最強のルーピングヨーヨーでした。ファイヤーボールやレイダーのボディからキャップを取り外すことは普通、無理なのですが、ある程度使い込んだものであれば、ボディに強い衝撃を与えることでキャップを取り外すことができます。

やってみた人は知っていると思いますが、キャップを取り外すためにはボディを破壊するくらいの衝撃を与える必要があるため、キャップが上手く取れずに砕けてしまうこともよくありました。もし、やってみる場合は怪我をしないように、よく注意してください

ファイヤーボールからキャップを100枚単位で取り外していた某氏は、かつてこのテクニックのことを「パワー・オブ・ゴリラ」と呼んでいました。たぶん、一般的な呼称ではないですが、当時の思い出として記録しておきます。

ケンヂ博士
ケンヂ博士
やはり、パワー……パワーが全てを解決する。

なお、「パワー・オブ・ゴリラ」で取り外したキャップの使い道は主に2パターンです。一つは単純にコレクション、もう一つは他社ルーピングヨーヨーへの移植です。

かつてはファイヤーボールやレイダーのキャップを他社のルーピングヨーヨー(例えば、ヨーヨージャム社のサンセットトラジェクトリーNXG)に移植して、ルーピングのフィーリングをファイヤーボールに近づける……なんていう改造方法がありました。ルーピングヨーヨーの高性能化と省メンテナンス化が進んだ2024年現在ではこのような変な改造をする意味はほとんどなくなっていますが、変な改造に挑戦しなければなかった不自由な時代があったのです。

昔と比べると、今はヨーヨープレイヤーにとって本当に良い時代だとしみじみ感じます。さて、この記事はこれまで。みなさん素敵なヨーヨーライフを。

ABOUT ME
ケンヂ博士
高橋 健治。某工業高専出身のアラフォー工学博士。 東北生まれのエセ関西弁話者。研究者として日系メーカーに10年以上勤務。数学、制御工学、電気工学、パワエレ、プログラミング、ヨーヨー、将棋などがそこそこできるマルチプレイヤー。大阪府の端っこで、お嫁様+2人の娘たち+4匹の金魚.etcと暮らしている。

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