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[商品説明05] DELIGHT開発ストーリー

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

この記事にはKYLIN‘s yo-yoのプロモーションや筆者の主観的な情報が含まれます。

なお、こちらの製品はスピンギア製の部品を組み込んでの販売となっていますが、ヨーヨー本体はKYLINの責任で設計、製造しております。何らかの不具合(ヨーヨーの性能や外観など)に対する責任はスピンギアが保証するものではありません。

まえがき

DELIGHT はKYLINの最初のヨーヨーである。ここではその開発ストーリーについてすこし書いておこう。

実は、俺がヨーヨーを作ろうと思ったときに最初に頭に浮かんだものと、完成したDELIGHTは全く違うモノなんだ

俺は最初、デルリン素材(正式名称はたぶん、ポリアセタール。POMとかセルコンと呼んでもだいたいヨーヨーオタクには通じる)の旋盤削り出しでヨーヨーを作ろうとしていた。もっと言うと、金属リム付きのヨーヨーにしようと思ってさえいた。現代のヨーヨーで言うと、onedropのカバル2みたいな感じか(※俺はカバル2を持ってないから、想像でしゃべってる。カバル2について知りたいヒトは↓の動画でも見てくれ)。

でも、人生は面白いもんで、実際にできたモノは3Dプリンタ+PLA樹脂製の超軽量プラスティックヨーヨーだった。ぜんぜん違うじゃんって思うよな。ここから話すのはそんな紆余曲折の話だ。

ヨーヨージャム キックサイド

これは完全に昔話になるんだけど、俺がヨーヨーに復帰したのは2005年のこと。当時の俺は98年ハイパーヨーヨーのことしか知らなかったのだけど、ちょっと調べただけでこんなことがわかった。2005年当時、ハイパーヨーヨー以降もヨーヨーを続けていたクレイジーなやつらはだいたいみんなヨーヨージャムを使っているらしい、と

ヨーヨージャムの歴史については↑の動画を見てくれればだいたい雰囲気が掴めるとおもうけど、そんなこんなで俺もヨーヨージャムを買ってみることにした。初めて買ったのはキックサイドとスピードメーカーだ。スピードメーカーはスズキヒロユキ氏(当時はミッキーと呼ばれていた)のシグネチャーヨーヨーとして有名だな。でも、俺はキックサイドのほうを気に入った。単純な話、キックサイドのほうが回転力が強いからな

写真は販売終了直前のもの。俺が買った時は箔押しキャップではなく、透明キャップ+紙キャップだった。

キックサイドはデルリン製のラウンドボディ機種だった(※スピンギアにはセルコンって書いてあったけど、まぁ化学的にはだいたい同じ組成だ、知らんけど)。いまの基準で見るとこれよりも良いヨーヨーはたくさんあるけども、当時としてはなかなかの性能だったし、ドル安円高の影響もあってか、価格もたしか2000円そこそこだったから、名機だったと思うぜ。

いまの市場はデルリンよりもポリカーボネートのヨーヨーのほうが多い印象だけど、俺はデルリン育ちだから、やっぱりポリカーボネートよりもデルリンのほうが好きなんだよな。

キックサイドと形状が似たヨーヨーで、パトリオットとかジャーニーっていうのがあったんだけど、そっちはポリカーボネートだったからあまりピンと来なかった。ポリカボは透明カラーが綺麗なんだけど、フィーリングがあまり好きでない。この辺は人によって好みの分かれるところだと思う。

最近、元日本チャンプがキックサイドとパトリオットのことをXでポストしてるのを見たんだけど、当時を知る人にとってはどちらも思い出深いヨーヨーだよね。

Crucial MILK 2%

さて、15年くらい前のことだと思うけど、当時の友人がCrucialのMILK 2%ってヨーヨーを練習会に持ってきた。彼は一流のヨーヨーソムリエだったんだけど、「こいつはハイパーキックサイドだぞ」って興奮してたな。MILK 2%はデルリン削り出しのラウンドボディ機種で、メーカーやベアリングサイズは違うんだけど、たしかにキックサイドを正統進化させたようなヨーヨーだった。ぼくがMILK 2%を触ったのはごくわずかな時間だけだったけど、いいヨーヨーだったな。この前、タカツさんの動画でMILK 2%が「隠れた名作ヨーヨー」として紹介されてたんだけど、あれはうれしかった。

すこし話がそれるけど、Crucialは最近、活動を再開したみたいで、The MAPLEって名前のヤバすぎる木製ヨーヨーをリリースした。モノづくりへのこだわりを感じられそうなヨーヨーだったから、俺はすぐにゲットした。これは買ったヒトにしか実感できないことだけど、Paul Yathからのメッセージカードが封蝋で閉じられていたのには感動したな。

思い出の名機を超えることを目指して

そんなわけで(どんなわけだ?)、ぼくは記憶を頼りにMILK 2%を超える「ウルトラハイパーキックサイド」を作ろうとしていた。余談だがDELIGHTの開発していたときのコードネームはMILK 100%だった。世の中にはたくさんの種類のヨーヨーがあるけども、ぼくが欲しかったのはウルトラハイパーキックサイドだったんだ。ある意味、onedropのカバル2がそれに相当するかもしんないけど、いざ欲しくなったときにはもう買えないのがヨーヨーってもんなんだ(ヨーヨーオタクならわかるだろ?)。だったら、自分で作るしかない、そうだろ?

言っておくけど、yoyorecreationさん、POMで「サ」を作るのは止めてくれよな。もうそれはスーパーサイヤ人4みたいな絶対的勝利が保証されたプロジェクトだからな。絶対にやめてくれよな。

ヨーヨージョーカー パーセプター

また、すこし話が逸れた。

KYLINとしての活動を始めた2025年12月時点、実はぼくの手元にあるデルリンのヨーヨーはヨーヨージョーカーのパーセプター(Dベアリング仕様)だけだった。

キックサイドは実家だし、MILK 2%はそもそも持ってない(涙)。だから、パーセプターをベースに設計を始めた。パーセプターは結構好きなヨーヨーなんだけど、さすがに少し設計が古くて、重すぎる。それに理由はわかんないけど、うちにある個体はなんかブレる。まぁ、パーセプターはいろいろ気になるところはあるけど、もっと設計を詰めて現代風にしたら、理想のウルトラハイパーキックサイドに近づくんじゃないかと思った。

ヨーヨーの設計で初心者が最初に行き詰まるポイントは軸周りなのだけど、これに関しては幸い、図面を公開している人たちがいる。スピンギア、シュトゥルムパンツァー、コンソレイユなどだ。ありがたい。KYLINはこれらの先駆者に感謝しつつ、彼らの図面を参考にさせてもらっている。

今回、ベアリングサイズはDサイズにした。スピンギアで販売されているSGXシステムを使えば、はじめてのヨーヨー制作のリスクを減らせると思ったからだ。なにかに挑戦する時はハードルをできるだけ下げておくのがいい、とかなんとか。要するにビビってたってことだ。

SGXシステムの基本コンセプトはヨーヨージョーカーのEXシステムの流れを汲んでいる。そういう意味でもDELIGHTはパーセプターの親戚筋なんだ。

そんで、たまたまスピンギアで「覚醒のエクリプスオーガ」のリムも手に入れたので、それも試作機に取り付けることにした。ぼくはシュトゥルムパンツァーも結構好きだ。例の同人誌は俺にはあまり理解できないけど、Dベア+軽量機+金属リムの構成はロマンがあるよな。

トラブル発生

SGXシステムで安全を取りにいったり、エクリプスオーガリムで回転力を取りに行ったり、リスクとリターンのバランスがよくわかんなくなってきたが、図面をまとめて、旋盤加工業者に関する情報を仕入れて、そこまではわりと順調だった。

しかし、いざ価格見積もりをしたときにね、トラブル発生。ちょっと試作コストが思ったより高くてね、二の足を踏んでしまった。ヨーヨー専門の業者じゃなかったから仕方ないかもしんないけど、ざっと想定の2倍くらいだったからちょっと高いな〜と。

ヨーヨー専門の業者に再見積もりをすることも考えたんだけど、どのみち、一発目の発注にはどうしても勇気がいる。1回の試作で上手くいくとは思えないが、何度も試作を繰り返すほどの予算はない。困ったなーと思ったときに、もっちーさんの3Dプリントヨーヨー ゴパチを触ったんだよね。

もっちー ゴパチ

正直、3Dプリントヨーヨーなんて……と舐めてたんだけど、ゴパチを触ったときに、ガツーンと来た。これ、ヤバいぞ。一発でわかった。細い糸を使うとベアリングの隙間に糸が落ちるとか、荒削りな部分もあるが、これはスゴイヨーヨーだぞと。「虜(トリコ)になる」ってこう言うことを言うんだろうな。ある意味、俺が求めていたウルトラスーパーキックサイドがそこにあったようなものなんだ。

だから、ゴパチを触ってみて、ヨーヨーの試作コストを旋盤加工業者に支払うよりも、自分でいっぺん作ってみたらどうだろうか?という発想になった。俺が3Dプリンタを買ったのはそれが理由。

そんで、ヨーヨーの図面を3Dプリント用にリファインして、試作品を何個か作ってみたんだけど、まぁなかなか上手くいかないね。思ったよりもぜんぜん難しい。金属リムを搭載することはすぐに一旦諦めて、どうやったら印刷品質が上がるか、どうやったらブレが収まるか、そういうことを一所懸命に考えた。ただ、KYLINはMade in Orenchi (that means my own home in Japanese)なブランドなので、たくさん試行錯誤できるのが強みなんだよね。こういうとき、自前の工作機械を持ってるってのはほんとに強いな。

DELIGHT誕生

そうやって、いろいろ試行錯誤していく中で、SGXナットとボディの組み付け角度を微調整すればブレが収まることを見つけた。やったぜ。そんときにできたヨーヨーのフォルムや印刷条件を微調整してやったのがいまのDELIGHTだ。キャッチゾーンはyoyorecreationやTURNING POINTを参考にして、多くの人たちに受け入れられやすい形状にした。

https://x.com/kendi44yoyo/status/1934405954197655789?s=61&t=j_-aleqaeNaLyJw1Xb1SOg

プラスティックヨーヨーにしては価格が高めなのは部品コストと組み立ての手間を考えてのことだ。一発目のヨーヨーはお高めのお値段になってしまったが、KYLINはこれからコスト削減の努力をしていくつもりだ。

DELIGHTの製作秘話はざっとこんなところだ。ここまで読んでくれてありがとう。

君たちがKYLINのヨーヨーを買って、KYLINの活動を応援してくれると嬉しい。使用してみての感想のフィードバックやSNSでのプレイ動画の拡散は大歓迎だ。

販売情報

現在、DELIGHTはboothにて販売中だ。気になるヒトはリンク先のURLをチェックしてみてくれ。

https://kylin44.booth.pm

日本国外からの購入も可能だ。日本国外からの購入および発送の方法の詳細を知りたい人は下記のウェブサイトを見てくれ。

https://www.tenso.com/en/static/lp_shop_booth

予告

KYLINは2025年8月上旬に2作目のヨーヨー、DEAR FRIENDを販売開始する予定だ。こいつはDELIGHTの妹で、かなりいい感じに仕上がっている。期待して待っててくれ。

ABOUT ME
ケンヂ博士
高橋 健治。某工業高専出身のアラフォー工学博士。 東北生まれのエセ関西弁話者。研究者として日系メーカーに10年以上勤務。数学、制御工学、電気工学、パワエレ、プログラミング、ヨーヨー、将棋などがそこそこできるマルチプレイヤー。大阪府の端っこで、お嫁様+2人の娘たち+4匹の金魚.etcと暮らしている。